国内外の有名音楽誌3誌による「世界のオーケストラランキング」2020年最新
先日のエントリを書いた後に「オーケストラを他の方はどう評価してるのかな?」と気になって、ランキングまとめてみました。面白い発見がありましたが、それは次回のエントリにて。
まずは国内外の有名音楽誌3誌が選ぶ「世界のオーケストラ10」をお伝えしますね。
世界のオーケストラ10選 & ランキング(2020年最新)
かつて、バーンスタインは「世界でもっとも偉大なオーケストラはどの楽団でしょうか?」と尋ねられ「ない!」*と即答したそうです 。かっこいい!このエントリも、クラシック音楽仲間との話のネタと思っていただければうれしいです。
- 英国誌『グラモフォン』による「世界のオーケストラ トップ10」(2008年)
- 『音楽の友』による「世界のオーケストラ トップ10」(2019年)
- 『レコード芸術』による「世界のオーケストラ トップ10」(2017年)
- ランキング傾向。国別、選出方法など
- ランキングの本当の面白さはトップ10以外にあった!
- 最後に、バーンスタインの言葉*を引用すると
世界的に高名な英国誌「Gramophone(グラモフォン)」そして日本の「音楽の友」「レコード芸術」の3誌によるオーケストラ・ランキングは以下の通りです。
英国誌『グラモフォン』による「世界のオーケストラ トップ10」(2008年)
「グラモフォン」誌による「世界のオーケストラ、トップ10」は、2008年以降発表されていません。
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The world's best classical music reviews, Gramophone's 10 World's Best Leading Symphony Orchestras.
1位:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
2位:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
3位:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
4位:ロンドン交響楽団
5位:シカゴ交響楽団
6位:バイエルン放送交響楽団
7位:クリーヴランド管弦楽団
8位:ロサンジェルス・フィルハーモニック
9位:ブダペスト祝祭管弦楽団
10位:シュターツカペレ・ドレスデン
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19位には、日本の「サイトウ・キネン・オーケストラ」がランクインしていました。
『音楽の友』による「世界のオーケストラ トップ10」(2019年)
老舗音楽出版社の発行する『音楽の友』は、ほぼ2~3年間隔でランキング特集しています。
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雑誌『音楽の友』2019年3月号、特集「世界のオーケストラ・歌劇場ベスト10」
1位:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 411点
2位:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 329点
3位:バイエルン放送交響楽団 294点
4位:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 255点
5位:ロンドン交響楽団 174点
6位:パリ管弦楽団 135点
7位:シカゴ交響楽団 131点
8位:ドレスデン・シュターツカペレ 118点
9位:クリーヴランド管弦楽団 112点
9位:ライプツィヒ・ケヴァントハウス管弦楽団 108点
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ちなみに、国内オーケストラのランキングは以下の通りです。
22位:NHK交響楽団 18点
32位:読売日本交響楽団 10点
32位:日本フィルハーモニー交響楽団 10点
39位:京都市交響楽団 9点
42位:日本センチュリー交響楽団、
45位:山形交響楽団、52位:東京交響楽団など
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池田卓夫さん、渡辺和彦さんがN響を世界1に推してらっしゃいました。
『レコード芸術』による「世界のオーケストラ トップ10」(2017年)
『レコード芸術』誌上でのランキング発表は、2008年以来、9年ぶりだそうです。
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雑誌『レコード芸術』2017年3月号、特集「オーケストラ・ランキング2017」
1位:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2位:バイエルン放送交響楽団
3位:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
4位:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
5位:ドレスデン国立管弦楽団(シュターツカペレ)
6位:パリ管弦楽団
7位:シカゴ交響楽団
8位:ロンドン交響楽団
9位:マーラー室内管弦楽団
10位:ドイツ・カンマーフィルハーモニー
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ランキング傾向。国別、選出方法など
どなたも予想される通り、ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ、そしてバイエルン放送交響楽団あたりが不動のトップ3です。
もはや、指揮者ではなくオーケストラそのものの実力がクラシック音楽界を牽引しているようにすら見えます。
ロイヤル・コンセルトヘボウがなかなか次期首席指揮者をアナウンスしないのは、決めかねているというよりも、首席指揮者不在でも問題ないからなのかな、などと考えてしまいます(2019シーズン以降、2020年1月現在まで空位)。
もっとも、ベルリンフィルの首席指揮者キリル・ペトレンコさんは、バイエルン国立管弦楽団の首席指揮者と兼任されるなど大活躍されていますし、その実力に口を挟むつもりはありません(GoogleとAppleのCEOを同時に務めるようなものかな?あ。違った?)。
国別に見ると、
『グラモフォン』誌のランキング20のリストを国別に見ると、最多はアメリカ(7楽団)、次いでドイツ(4楽団)がランクイン。
対して、日本の『音楽の友』のランキング20まででは、最多はドイツで ダントツです(ドイツ、8楽団)。シカゴ交響楽団、クリーヴランド管弦楽団をはじめとするアメリカのオーケストラが続きます(アメリカ、5楽団)。フランスを除き、2楽団以上ランクインしている国はありませんでした。
選出方法
各誌の選出方法はいずれも指揮者ではなく、音楽批評家による選出です。
- 『グラモフォン』11人の 世界的な音楽批評家へのアンケート調査にもとづく選定。
- 『音楽の友』46人の音楽評論家・ジャーナリストによるランキング選出。
- 『レコード芸術』30人の評論家がそれぞれ1位から10位までランク付けし点数化
『音楽の友』『レコード芸術』は、投票した点数は表記されていませんが、音楽評論家・ジャーナリストは記名です。一方、『グラモフォン』の選者は公表されていないようです。
ランキングの本当の面白さはトップ10以外にあった!
初心者なので、各誌のランキング・リストを見ていてワクワクしてしまう発見もありました。が、それはトップ10以外のオーケストラのことなので別エントリにて。
個人的には、この雑誌でもトップ3に入る、ベルリンフィルを束ねる樫本大進さんは素晴らしいなと感じました。日本人として誇らしいです(もちろん、おサル以外の人はみんな知っていたと思いますが笑)。
最後に、バーンスタインの言葉*を引用すると
「僕にはお気に入りのオーケストラはないね。特定のオーケストラの伝統や、ウィーンのような、祖父や曽祖父から受け継いだ楽器から生じる確かに個性的な“音”、フランスとドイツのバスーンやトランペットの違いなどはあるよ。教え方の “流派”もある。しかし、それらすべてを考慮しても、すべてのオーケストラは、オーケストラ自身の音ではなく、今演奏している作曲家の音を出すためにあるべきだなんだ。ハイドンはハイドンのスタイルで、ラヴェルはラヴェルのスタイルで、マーラーはマーラーのスタイルで。『フィラデルフィア』や『ベルリンフィル』の音のためではなくね」
素敵ですね!できるだけ多くのオーケストラの演奏、そしてコンサートに触れたいなとますます思うおサルです。読んでくださりありがとうございました!