おサルのクラシック鑑賞⑬:ベルリオーズ「幻想交響曲」バッティストーニ指揮&東京フィル(2020/1/24)
こんにちは。おサルのコンサート鑑賞エントリです。東京フィルさんの1月定期演奏会は、2020年幕開けにふさわしい艶やかなコンサートで、とても楽しかったです!
どこか捉えどころのない幻想交響曲も、バッティストーニさんの指揮にかかると、演劇のようにドラマチック!
眠れる亡者をも踊らせる?!グルーブ感のある「幻想交響曲」
おサルの席は2階。真正面に目を向けると、コントラバス7台と、金管奏者が10人以上がステージにずらりと並んでいます。大編成のオーケストラ!
第3楽章では、ティンパニ2台を奏者4人で演奏するんですよ!「えーーー!!こんなのアリ?」って思わず人数を数えた初心者おサルです。
そんな大編成にもかかわらず、バッティストーニさんの威勢のいい指揮にぴったりついていく東京フィルハーモニーさんすごい!爽快です。
第130回東京フィルハーモニー定期シリーズ
指揮:アンドレア・バッティストーニ
ピアノ:阪田知樹*
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番*
ベルリオーズ/幻想交響曲
楽器編成: フルート(2番はピッコロ持ち替え)、オーボエ2(イングリッシュ・ホルン持ち替え)、コールアングレ、バンダオーボエ、クラリネット2、Esクラリネット、ファゴット4、ホルン4、トランペット4(トランペット2、コルネット2)、トロンボーン3、オフィクレイド(テューバ)2、ティンパニ2、打楽器(シンバル、大太鼓、小太鼓、鐘)、ハープ2、弦楽五部
幻想交響曲に、おフランス映画のルーツを見たおサル
フランス映画と言えば、最初の15分でいきなり愛が盛り上がり、残りの1時間は激しい口論とエキセントリックな愁嘆場と決まっています(断言)。
第2楽章でバッティストーニさんは、完璧な恋の陶酔感を醸してくれ、うっとりしました。そのあとの修羅場の無惨さをひきたてる効果がバツグンです。
ミュージカルのように、通りを歩けば、小鳥が歌い、周り中から祝福されて歌って踊る感じ? 非現実的な多幸感。
映画「500日のサマー」
映画「ラ・ラ・ランド」
恋のピュアな高揚感、うつつを抜かす楽しさがたっぷりの第2楽章でした。
2020年9月の演奏会形式「フランチェスカ・ダ・リミニ」もドラマチックな愛憎劇なので、バッティストーニさんにぴったりですね。聴きに行きたいです。
「ジュテーム」から「ピュタン!」まで一直線。そして放埒なマルディグラ!
短くも美しく燃えたあとは、ホルンと、それに呼応するオーボエの奏でる不安定なフレーズ*から第3楽章が始まり、続く弦楽器が不穏さを煽ります。2人の間に秋風が立ったことが、サルの耳にも明白!
恋人たちのため息、うめき声、阿鼻叫喚が聴こえる第4楽章から、最終楽章の放埒な何でもありのフィナーレまでは一直線です。
バッティストーニさんの、ノリノリ、アゲアゲな演出に、オーケストラもしっかり反応して盛り上げる、盛り上げる!亡者を起こして踊らせる勢いは、マルディグラそのものの熱狂でした。
結論「ベルリオーズは、恋愛では幸せになれなくても仕方ない」?!
それにしても、第3楽章の冒頭*では、オーボエ奏者の姿を探して、サルさながらキョロキョロしてしまいました。ライブで聴くと、ホルンとオーボエが見えない相手と踊ってるようなんです。
実は「ステージ上のイングリッシュ・ホルンと、舞台裏のオーボエによる、空間的な遠近法」とのこと。ベルリオーズさん、やり手ですね!
弔鐘も陰りのある響きが終末感を添えます。しかし、仏壇に置いてあるおりん(金属のお椀)を盛大に鳴らすようなものじゃないですか。大胆不敵な演出です。
たしかに、曲から 「僕の神経は耐えられない!」という嘆きは聴こえてきましたが、その酔いっぷりも見事に客観視してますよね… ?
……ベルリオーズさんは、失恋を嘆いているようでいて、転んでもタダでは起きない、つまりは野心家さんですね。恋愛のモトをしっかりとる男です。幸せになれなくても、まあ仕方ないかな、なんて強烈なフィナーレを聴きながら考えてしまいました。
毎回身も蓋もない感想ですが、作曲家の思惑を叶える、密度も満足度も高いノリノリなステージは、本当に楽しかったです!
ありがとうございました。
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